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茶ごころ

茶ごころ

近藤 道生

茶ごころ

定価: ¥ 2,447

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人気ランキング: 550190位

おすすめ度:

発売日: 1996-03

発売元: 新潮社

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若い人にこそ読んで欲しい
会社内の歯科診療所待合室の書棚に置いてあった。贈呈札が挟まれてもおり、元銀行局長と言うことで私家版の贈呈か、と思ったが、れっきとした出版物。新潮社刊である。

内容は、その辺の上がりの経営者が書く「私の履歴書」的な自慢話ではなく、半生記的な色合いをも持ちつつ、素晴らしく文化的な警鐘を鳴らすものとなっている。

著者の父が益田鈍翁の主治医であった関係から、短い期間ながらも知己を得、その死後も父から鈍翁の事跡を聞き、自らの柱として生きてきた人である。

この本には、平成8年に刊行されているが、この時点で、著者は、環境問題等にも触れている。しかも、鈍翁は、既に昭和初期には予測し、実験・実践を始めていたという。



ネットで見ると、96歳の現在もご存命のようで、昨年にも一冊「国を誤りたもうことなかれ」という著書をお出しになっているらしい。これも即、購入することにした。



この方は、海軍大尉で退役後、銀行局長や博報堂社長等を勤め上げられ(博報堂では「風の谷のナウシカ」の製作者ともなっている)、官・民に蒙を啓かれた様だが、この辺りの世代の方々が、多く戦死し、戻って来ても表に出なかった方の多かったことが悔やまれる。

維新や日清・日露を経験した鈍翁らの如く、第二次世界大戦を超えてきた真の知識人達が、もう少し多く、うまく日本をリードしてきてくれたら、今の謝った歴史を繰り返そうとする勢力の版図が拡がるまでに未だ猶予が有ったのではないか、と思う。



ある程度、封建的な色合いが残ることは残念であるが、それなりに教育に金を掛けられる家族。家計があり、旧制中学・高校で、文化的にレベル観のある教育を受け、友を作り、競い合って知識や感性を身に着けて来た階層。民衆を指導する真の文化人の存在はやはり必要なのだ、と気付く。

父と我とを比較しても、所謂エリート教育を受けた者と、均等な教育を受けた者との、その差の縮まらないことに気付く。勿論、本人の覚醒の問題は当然あるとは考えるが、「階層としての意識」は必要なのであろう、と言訳したい。



まあ、そういうことは措いても、文化に根ざした教育は必要であると気付く。伝統や文化に根ざした教育をしても守旧に走るわけではないことも、この書は明らかにしている。



ご一読あって然るべき、と思う。

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